札幌医療事故問題研究会
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知っておきたい医療事故Q&A

医療事故について   訴訟までにかかる費用
医療事故ではないかと思ったら   医療過誤の時効について
医師から説明を受けるとき   医療被害者にならないために
訴訟を起こす前に   よい弁護士の選び方
相談から訴訟提起までの流れ   医療問題に関する用語集



医療事故について


医療事故ってなんですか?

 医療事故には二つのケースがあります。
一つは事故が誰のミスでも怠慢でもなく、不可抗力で起きてしまった場合。もう一つは、人為的なミスや怠慢によって起こった場合です。
 人為的な原因が考えられる場合でも、患者側に問題があって事故に結びついてしまった場合と、病院や医師の側に問題があって事故が起きてしまった場合があります。
 私たちがここで救済していこうと考えているのは、病院側に問題があり、患者さんが被害を被ってしまった場合です。



医療事故の原因はなんですか?

 医療事故の原因はさまざまですが、一般的には、「医学知識の不足」「最新医学からの立ち遅れ」などによる、『誤診』があげられます。また、現代医学の細分化、専門化、高度化によって、専門外の診断についての知識が不足していることも原因としてあげられます。さらに、あってはならないことですが、不注意による事故もあります。
 一般の開業医が医療過誤に至る大きな誤診を犯してしまう原因の多くが「診断がつかなかった」、「症状や治療方針に確信が持てない患者をいつまでも抱えていたため」だといわれています。



訴訟から決着までどのくらいの時間がかかりますか?

 医療事故訴訟は、その特殊な性質上、決着までに時間がかかるケースが多いです。裁判所では、争点の整理に1年、鑑定などで10ヵ月、判決作成までに2カ月で、計2年間を審理期間の目標としています。しかし、実際には早い段階で和解に持ち込めるケースもありますが、数年間はかかっているのが現状です。
 2001年度の平均審理時間をみても、以前より短縮化されたとはいえ3年近くかかっています。
 一審判決で決着せず、控訴されるようなことにでもなれば、かなりの長期裁判になるのが実情です。



医療訴訟の勝訴率は?

 かつては勝訴率の低さで知られていた医療訴訟ですが、最近では35パーセントを越えるくらいになりました。ふつうの民事裁判の原告勝訴の割合が80〜85パーセントといわれるなかでは、まだまだ低い数字です。医療事故訴訟を担う弁護士は、医療の専門性、病院の閉鎖性とも戦わなければならないため、医療被害の正当な立証はtたいへん難しいといわざるを得ません。
 しかし、医療事故訴訟は困難で、訴訟に勝てないということではありません。裁判所が最終判断をする基準は、原告側の主張・立証を経て、あくまで、法律家の健全な常識に基づいてなされるべきものだからです。

※勝訴率は最終的に判決で勝訴したものです。判決に至る前に、「和解」したものは含まれていません。




過去の医療過誤訴訟件数

医療過誤訴訟の新受件数

2000年
-
794件
2001年
-
822件
2002年
-
909件
2003年
-
998件
2004年
-
1107件

● この30年のあいだに、訴訟の新受件数と未済件数は6倍、既済件数は20倍に増えています。
(1970以来、最高裁から公表されている統計による)
 

 厚生労働省が2002年4月に初めて発表した、全国82の*特定機能病院の医療事故発生状況によると、約2年間で15000件の医療事故が発生しています。そのなかで患者が死亡や重体などの重篤状態となっていたケースは、387件にものぼりました。
 これは、全国に82しかない特定機能病院の医療事故発生状況であり、しかも、あくまでも自己申告された件数です。実際にはもっともっと事故件数は多いと見るべきでしょう。

*特定機能病院とは、大学の付属病院など高度な医療技術を持つ、病床数500床以上の医療機関のことをいいます。


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医療事故ではないかと思ったら


医療事故を疑ったときに、
どんなことをすればいいですか?

弁護士に相談する

 医療事故については、医療の専門性・特殊性と、病院という限られた環境について、十分な知識を持った人が当たることが大切です。直接交渉で、医療従事者にミスを認めさせたり、謝罪させたり、責任を取らせるということは、想像以上に難しいことです。
 また、最終段階で訴訟に持ち込む覚悟と可能性があるのであれば、病院側と、激情にまかせた交渉をすることは控えるべきです。難しいことですが、冷静沈着に行動することが大切です。
 事実上の医事紛争に発展した後に、病院に対してカルテや看護記録などの資料の開示を求めたりしてもいけません。なぜなら、裁判所に証拠保全の手続きをとる前に、証拠を隠滅される恐れもあるからです。

 以上のような理由から、医療事故の疑いがあると感じたら、まず専門家である弁護士に相談することが大切です。



記録・メモを残す

 病院にかかるときには、医療事故が起こる前から、詳細な記録を残すように心がけましょう。「前もってそんな準備はできない」と思う方もいるかもしれませんが、適切な医療を受けるためには、患者の側にもそれなりの心構えや姿勢が必要です。
 少なくとも、「何かへんだな」と思ったら、できる限り詳細な記録を残すように心がけましょう。

その際、下記のようなポイントを押さえておくとよいでしょう。


【医療行為を受けるとき、記録するべきポイント】

1. 医師にかかるまでの症状や状況はどんな感じだったか。
2. それまでに別の医師にかかっていた場合、そこでどのような治療を行ったか。
3. いつ治療を受けたか。
4. そのときの診断・治療・予後についての説明の内容はどのようなものだったか。
5. 医療事故発生の直前までどんな診療を受けていたか。
6. 症状はどんなふうに変化したか。
7. 医療事故を疑った時期やきっかけ。
8. 医療事故が発生したと思われるときの状況。
(事故、副作用、合併症などについての事前の説明があったか。説明の内容は充分だったか)

1から6までは、日ごろ病院にかかるときに、メモや記録に残しておくように心がけましょう。
万一、医療事故を疑うような状況に遭われた場合には、7や8についてもメモや記録を残しておくことが大切です。


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医師から説明を受けるとき

 もし、実際に医師から説明を受けるときには、以下の点を参考にしてみてください。
受けた説明については、必ずそれを記録しておきましょう。


どんな態度が望ましいですか?

冷静に相手の話を聞きましょう

 ともかく冷静な態度で医師の説明を聞いてください。
 説明を聞くのは状況を明らかにし、それをメモ等によって記録化することが目的です。
この段階で医師に過失があるのかどうかを判断することは困難であり、ここでは、医師の責任を追及することが目的ではありません。
 患者の側には被害者感情があり、逆上したり、感情的になってしまいがちです。しかし、医師に対する患者側の感情的対応は、かえって医師の説明を十分に引き出せないままに終わることにつながります。さらに、医師に危機意識をうえつけ、カルテ等の改ざん・廃棄などを誘発する危険があります。
 医師から話を聞くときは、冷静に・・・。



どんな準備をすればいいですか?

聞きたい要点を整理しておきましょう

 医師から説明を受ける前に、知りたいことについて、あらかじめ整理しておきましょう。実際に医師に説明を受ける際には、次の事項が一応の目安となります。


【説明を受けるときに押さえておく事柄】

1. 医療事故が発生したときの状況と医師・看護師などの対応。事故直後に受けた説明と現在の説明とに食い違いがあれば、その食い違いの理由。
2. 患者の異変の原因について、医師の意見はどうか。
3. 後遺症、治癒の可能性はどうか。
 
 患者の異変発生までの投薬や処置の内容と、それについての事故・副作用・合併症の可能性について、事前の説明と食い違っていた場合には、その食い違いの理由をはっきりさせましょう。



具体的に何を聞いたらいいのですか?

説明を求める具体的なポイント


1. 患者の異変発生までにどんな投薬や処置がされていたか。
2. 投薬や処置について、事故・副作用・合併症の可能性についての説明があったか(インフォームド・コンセント)
3. これらについて事前の説明と食い違っていた場合は、その食い違いの内容はどのようなものだったか。
4. 医療事故が発生したときの状況。
5. 医師や看護師の対応はどのようなものだったか。
6. 事故直後に受けた説明と現在の説明とに食い違いがあれば、その食い違いはどのような点だったか。
7. 患者の異変の原因についての医師の意見はどのようなものだったか。
8. 後遺症、治癒の可能性について医師の見解。
 
 以上のような項目を参考に、説明を受けてください。
 あくまでも冷静に医師の話を聞くことが大切です。医師を責めたり、感情的になったりすると、必要な情報が得られないだけでなく、双方の感情がこじれてしまいます。感情的な態度は、医師に危機意識を植えつけ、カルテの改ざんや廃棄などを誘発しかねません。
 この段階では医師に過失があるかどうかを判断するのは困難です。説明を聞くのは、あくまでも状況を明らかにして、それをメモなどで記録化することが目的です。医師の責任追及が目的ではないということを、しっかり頭に入れておきましょう。




 説明を受けるとき、医師に差し支えのない範囲でカルテなどを示して説明してくれるよう申し入れてもよいでしょう。ただ、カルテなどの閲覧については、申し入れに紳士的な態度が必要です。感情的な対応をする患者側に対しては、医師も快くカルテの閲覧に応ずるとは考えられません。大切なことは、医師から説明を受けた後で必ずそれを記録しておくことです。


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訴訟を起こす前に


どんな心構えが必要ですか?

なぜ、訴訟を起こしたいのか、気持ちを整理しましょう

 医療事故訴訟は、一般民事事件に比べて原告勝訴率が低いのが現状です。理由のひとつに医療行為の専門性や特殊性があります。また、医療現場の閉鎖性もあげられます。訴訟を起こす側にとって勝訴率が低いということは、確実に勝てるという保証がないということでもあります。そのような現実を理解したうえで訴訟に踏み切られるとき、『なんのために行う訴訟なのか』ということを、よく考えて決心をしていただきたいと思います。

 実際に医療被害を受けたことが明確になった時点で、私たち弁護士は、まず被害者やその家族をどのようにして救済するかを考えます。
 被害にあった依頼者が、これから提起しようとしている訴訟によって、なにを勝ち取ろうとしているのか、その心情を的確にとらえて訴訟活動に入らなければなりません。
 一般的に被害にあった場合というのは命を失ったり、体に重大な後遺障害が残った場合です。失った命や健康を取り戻すことはできませんが、その経緯を明らかにすると共に、補償と心身の痛みを慰撫するための賠償金の支払いを請求することになるのです。


多くの医療被害者が医療事故訴訟に望むものは
  ●医療事故の原因を知りたい
●責任の明確化
●謝罪を求めて
●損害の賠償

という優先順位になっています。  


実際に被害者や依頼者が求めるものは、医療事故の原因の追及や責任の明確化であっても、訴訟においては、金銭賠償の方法しか取りようがないのも現実です。

 私たち弁護士は医療事故訴訟を担当するときに、依頼される皆さんが本当に求めていることはどういうことなのかを念頭に、訴訟活動を進めていくことを心がけています。
 訴訟を起こされる皆さんも、なぜ訴訟を起こすのか、訴訟によってどのようなことを望んでいるのかを、ご自身のなかで十分整理されておく必要があると思います。


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相談から訴訟提起までの流れ


裁判にいたるまでの道筋を教えてください

訴訟を起こす場合

 訴訟までの流れを、当会の無料相談を受けてからを例にとって、図にしてみました。


当会に相談の申し込み
(調査票の記入・返送・無料相談受理)
面談(無料相談)
事例の検討・ご相談者との協議
訴訟をするかどうか(ご相談者の決心)
訴訟の準備
(証拠保全・協力医に私的鑑定書の作成を依頼するなど)
提訴
裁判



証拠保全の申し立てをする場合

 皆様がお持ちの資料だけでは医療事故かどうかを即断できず、カルテなどの医療記録を検討することが必要となる場合があります。残念ながら、カルテ開示が全面的になされている病院はほとんどありませんので、この場合はカルテやレントゲン写真などが散逸しないように、訴訟に先立って、その内容を記録にしておく手続き(裁判所に対して証拠保全の申し立て)が必要となります。

→証拠保全にかかる費用



民事訴訟を提起する場合

 証拠保全の結果、医療過誤である可能性が大きく、訴訟以外に解決手段がないと判断された場合には、民事訴訟を提起することになります。民事訴訟を提起する際は、訴状に貼る印紙代、弁護士費用など、別途費用がかかります。
(費用は病院側に求める賠償額の金額によって異なりますので、担当弁護士と相談の上決定していただきます)。

→弁護士に支払う費用


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訴訟までにかかる費用


医療過誤で訴える場合、費用はどれくらいですか?

札幌医療事故問題研究会へのご相談 

 法律相談に関しては、原則無料です。
 1回の相談だけでは終了せず、医療文献を読んだり、医師の意見を聞いたりなどの調査を要する場合には、別途費用がかかる場合があります。

→当会へのご相談・問い合わせ



証拠保全にかかる費用

 ご相談者がお持ちの資料だけでは医療事故かどうかを即断できず、カルテなどの医療記録を検討することが必要となる場合があります。カルテ開示が全面的になされている病院はほとんどありませんので、この場合はカルテやレントゲン写真などが散逸しないように、訴訟に先立って、その内容を記録にしておく手続き(裁判所に対して証拠保全の申し立て)が必要となります。

 証拠保全にかかる費用は、カルテやレントゲン写真のコピー代などのほかに、弁護士費用が約30万円程度、実費が約10万から20万円程度かかるとお考えください。
(証拠保全にかかる費用は、事案によって異なります)



民事訴訟を提起する場合の費用

 証拠保全の結果、医療過誤であり訴訟以外に解決手段がないと判断された場合には、民事訴訟を提起することになります。民事訴訟を提起するにあたっては、訴状に貼る印紙代、弁護士費用など、別途費用がかかります。(費用は病院側に求める賠償額の金額によって異なります。詳しいことは担当弁護士と相談の上決定していただきます)



弁護士に支払う費用

 一般的に、弁護士に支払う費用には、着手金、報酬金、実費、日当などがあります。

着手金は、訴訟提起に先立って支払うものです。
報酬金は、事件が終了した時に成功の程度に応じて支払うものです。
実費は、収入印紙代・郵便切手代・謄写料、交通通信費、宿泊料、鑑定費用などにあてるもので、事件の依頼時に概算額で預かるか、あるいは支出の都度支払います。
日当は、弁護士がその仕事のために遠方に出張しなければならない場合に支払うものです。
着手金および報酬金は、事件の内容により異なりますが、示談交渉で解決した場合は、訴訟の場合より減額されることが多いようです。

 なお、依頼人の経済状況を考慮して着手金を分割払にすることもあります。
 費用の支払方法については、弁護士に相談してみましょう。


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医療過誤の時効について


医療過誤で訴える場合、時効はどれくらいですか?

医療過誤による損害を請求する原因(理由)は、下記の2つです。

(1)不法行為責任(民法709、715など)
(2)債務不履行責任(民法415〜)


それぞれについて、別個の時効制度がありますが、詳しくは弁護士におたずねください。



1.不法行為責任

 民法724条で、「消滅時効」が、被害者(または法定代理人)が、損害および加害者を知ったときから3年で完成。「除斥期間」というのが、不法行為(手術など)から20年経過で成立し、それぞれ損害が請求できなくなります。

 時効の3年は、不法行為(手術など)のときからでなく、損害および加害者を知ったときからスタートしますが、時効の中断事由(加害者が一旦債務を認めたとき、など)があるので、必ずしも進行していないことがあります。
 たとえば、症状が固定していないときには、損害はまだわからないので時効はスタートしていません。
 あとの20年という除斥期間は、そういったこととは関係なく、不法行為(手術など)から20年経過で請求できなくなります。




2.債務不履行責任

 一般の消滅時効期間の10年で時効が成立し、その起算点は債務不履行行為(手術など)の時であるのが原則ですが、やはり、損害が確定しなければスタートしないのではと言われています。時効の中断もありえます。

 事案の内容によっては、3年経てば不法行為請求権につき時効が成立している可能性があり、20年たてば、時効とは関係なく、不法行為による請求はできなくなります。しかし、20年たっても、債務不履行に基づく請求については、時効が中断していれば、まだ請求できる可能性もあります。


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医療被害者にならないために


被害者にならないためにどんなことに気をつければいいでしょうか?

 患者も医師もお互いに人間である以上、ミスや誤解は避けられません。医療事故を防ぎ、医療被害者にならないために、患者の側からもなにができるかを考えてみましょう。



1.おまかせ患者にならない

 病院にかかって、医師から治療方針や薬についての説明を受けるとき、どのくらい真剣に聞いていますか?
 医療行為とは本来、人に何らかの形でストレス(侵襲)を与えるものです。そこには必然的にリスクが伴います。別の言い方をすれば、患者は自分の健康と生命を守るため、リスクを承知で医師に投薬、検査、手術などの侵襲行為を行わせるということです。「シロウトだから」とか、「聞いてもよくわからないから」などと考えずにしっかり説明を聞きましょう。

 治療を受けるとき、あなたは当事者です。
 受身で医療行為を受けるということは、ミスや事故に対しても、あくまで受身の姿勢を取り続けることを意味します。医療現場から事故・ミスを完全になくすることが不可能に近い現状では、「お任せ医療」のリスクが通常よりはるかに大きくなるのは当然のことです。
 わからないこと、疑問に思うこと、不安に思うことがあれば、きちんと相手に伝えましょう。
 患者には憲法に保証されるさまざまな権利があります。

→患者の権利




2.良い医師、良い病院を知っておきましょう

 医療事故に遭わない第一の条件は、医療事故を起こしやすい病院にかからないことです。そのためには、患者の側に、「良い病院」や「良い医療従事者」を判断する力が必要になります。病院を選ぶのはあなたです。

ブランド志向で病院を選ばない
 「大きな病院、有名な病院ならば最先端の治療をしてくれるに違いない」とか、「医師のなかでも『医学博士』、『特別顧問』、『教授』、『院長』、『○○部長』など、肩書きを持っている人は、実力があるに違いない」など、一種のブランド志向で判断しないようにしましょう。
 日ごろから、病院にかかるときを想定して、実際にかかった人から医師や病院の評判を聞いておくなど、あらかじめ情報収集をしておきましょう。本やインターネットなどを利用するのもいいでしょう。ただし、それらの情報にも、何らかの主観が混入している可能性が高いということも、心に留めておかなければなりません。



3.病院選びのチェックポイント

 大まかな情報収集をしたあとは、実際に自分の目で判断しましょう。以下の項目を参考にしながら、病院の受付で直接聞くか、電話で問い合わるなどして、自分で感触をつかんでみましょう。


1. 患者が自分のカルテを閲覧できるかどうか。
2. 院内に苦情処理のシステムか専門の部署があるかどうか。
3. 医療機関に、医療事故防止対策の委員会があるか。活動状況はどうか。
4. 初診・再診の予約ができるかどうか。
5. 初診を担当する診療室などの有無。

1から5までは、あくまで指針のひとつに過ぎません。けれども、どの質問にも「NO」という返事が返ってくるようなら、要注意。その病院は避けたほうが無難でしょう。
 また、夜間の救急体制、適正な看護師の数が確保されているかどうか。診療科目によっては、医療機関の手術治療成績を尋ねたり、麻酔医がいるかどうかも大切なことです。そして、医師やスタッフが患者と気持ち良くコミュニケーションがとれているかどうかも、大切なポイントです。



4.ホームドクターを持ちましょう

 日常的な診療を受ける医療機関として、近所にかかりつけの医院を持っておくのも、いい方法です。ふだんはかかりつけの病院で診てもらい、かかりつけの病院で手に負えないような病気やケガの場合は、すぐにそこの医師から紹介状を書いてもらったり、転院の手続きをしてもらいましょう。
 医療の質や医師の技術レベルと、病院の知名度や規模とは関係がありません。



5.ホームドクターを選ぶポイント


1. 主訴(患者の症状)を親身になって、ていねいに聞いてくれるか。
2. どういう病状で、これからどういう治療方針を採るのかを分かりやすく、納得できるように教えてくれるか。
3. 治療法をきちんと説明してくれるか。いくつかの選択肢のなかから選ばせてくれるか。
4. 検査が必要であれば、その目的と必要性、検査に伴う危険性などをきちんと説明してくれるか。
5. わからないことは、「自分にはわからない」と、患者に対して率直に告げられる医師か。

以上のようなことをもとに、いい人間関係が築ける医師を見つけましょう。



6.良い患者になりましょう

 医療事故のリスクを減らすためには、医療を受ける側も「良い患者」であるように心がけるべきでしょう。
 「良い患者」とは、具体的には「医師と対等の関係で治療を進められる患者」です。病魔に対して、医師と協同して闘う関係を築くことが大切です。医師にすべてをまかせきってしまう「おまかせ」患者にならないように心がけましょう。


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よい弁護士の選び方


よい弁護士を選ぶには、どんな点を基準にして
選んだらいいでしょうか?

あなたと一緒に闘ってくれる弁護士を選びましょう

 医療事故訴訟は、一般的に解決までに時間がかかります。係争期間が何年かに及ぶこともあります。どのような弁護士なら、医療事故被害者の立場に立って、いっしょに闘ってくれるのでしょうか。以下のポイントを参考にしてください。



[弁護士選びのポイント]


1. 医療過誤訴訟に対する積極性と熱意があること。
2. 相談者・依頼者の話を十分に聞いてくれ、疑問に思ったことが気安く質問できること。また、その質問や疑問には、ていねいに答えてくれること。
3. 相談者・依頼者の間違いや、不利益な点などははっきりと指摘してくれること。
(相談者・依頼者に有利な点ばかりを聞いて、甘い言葉をかけてくれる弁護士が必ずしもいい弁護士ではありません。不利な点を聞き出し、場合によっては、相談者や依頼者の思い違いや思い過ごしを指摘して、冷静で客観的な見通しを立ててくれる弁護士が望ましいのです。)
4. 自分と相性がよく、意思の疎通がスムーズにできること 。
5. 協力医など医学的な専門知識、情報を得るネットワークを持っていること。


 互いのあいだで信頼関係をつくり、あなたと弁護士がともに闘っていく姿勢が大切です。


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医療問題に関する用語集

 インフォームド・コンセント

 インフォームド・コンセントとは、直訳すると「説明を受けたうえでの同意」のことです。
医療においては「患者に診療の目的を充分に説明し、納得を得た上で治療すること」を意味します。
「インフォームド」は、充分に情報が与えられ、その情報がきちんと理解されていること。「コンセント」は、選択可能な情報を充分に得たなかで、自分の意志で選択していくこと。
 つまり、インフォームド・コンセントは、医師任せ、病院任せにしないで、患者が医療に参加するための、自己決定権を実現するためのシステムです。
 また、医師と患者が対等な関係で治療に当たるには、適切なコミュニケーションが不可欠となります。そのためにも、医療機関の側にはインフォームド・コンセントを実践する義務があり、患者にはそれを求める権利があります。



 患者の権利(かんじゃのけんり)

 患者には、憲法13条の「生命、自由及び幸福追及に対する国民の権利」に根拠をおく「患者の自己決定権」があります。
 自己決定権の具体的な内容としては、情報提供を求める権利。治療法・手術方法などを選択する権利。転医に関する権利。セカンド・オピニオンを求める権利。医療記録を閲覧謄写する権利などがあげられます。
 治療方法の最終決定権も、患者の側にあります。
 医師は患者や家族が納得するまで具体的に説明し、根気よく話し合う義務と責任があります。患者には、説明された医療行為への同意を拒否する権利だけでなく、いったん同意した内容を、撤回・変更し、医療を中止させる権利もあります。
 また、治療に満足できないという理由で診療を拒否する権利もあります。



 (私的)鑑定意見書(かんていいけんしょ)

 専門的知識・経験に基づいて、事案を適切に解決するために裁判者に提出されるもの。たとえば、医療裁判においては、なされた処置が適切であったかどうかについて、第三者の専門家に意見を述べてもらう。
 私的鑑定意見書は、原告や被告など、裁判の当事者が、直接専門家に依頼して意見者を作成してもらうもの。



 鑑定(人)(かんてい)

 訴訟において、裁判官の判断を補助するため、裁判所が指名した学識経験者に専門的知識・判断を報告させることを目的とした証拠調べ手続き。または、当事者の申し立てにより裁判所に選任され、鑑定を命じられた人。



 証拠保全(しょうこほぜん)

 証拠保全とは、カルテ、看護記録、投薬指示書などの書類や、X線写真、MRI写真、CT写真など、対象の患者に関わるすべての医療記録を、あるがままの状態で保存するという手続きです。残念ながら、カルテ開示が全面的になされている病院はほとんどありませんので、この場合はカルテやレントゲン写真などが散逸しないように、訴訟に先立って、その内容を記録にしておく手続き(裁判所に対して証拠保全の申し立て)が必要となります。
 証拠保全にかかる費用は、カルテやレントゲン写真のコピー代などの実費のほかに、弁護士費用が約30万円程度、実費が約10万から20万円程度かかるとお考えください。
(証拠保全にかかる費用は、事案によって異なります)。



 調査カード(ちょうさかーど)

 医療事故相談は内容が専門的で複雑です。みなさまのご相談にきちんと対応するには、弁護士もあらかじめ医学文献などを調べるなど、準備が必要です。
 そこで、私たち札幌医療事故問題研究会では、相談者の皆様に、調査カードの記入をお願いしています。ご相談の前に、カードに医療事故と思われる事柄を具体的に記載していただき、事前に医学文献なども検討した上で、面接相談を行うというシステムをとっています。



 病理解剖(びょうりかいぼう)

 病死した屍体について解剖を行って、死に至るまでの病気の有様を医学的に明らかにするもの。剖検。一般的には死因について詳しく調べたいときに行います。




 提訴(ていそ)

訴訟を起こすこと。



 控訴(こうそ)

第一審の判決に不服のあるものが上級裁判所に審理のやり直しを求める訴訟手続き。



 不法行為(ふほうこうい)

故意または過失によって他人の権利を侵害し損害を発生させる行為。加害者はその損害の賠償責任を負う。



 債務不履行(さいむふりこう)

債務者の責めに帰すべき事由に基づき、債務の本旨に従った履行がなされないこと。履行遅滞・履行不能・不完全履行の三つの態様がある。



 和解(わかい)

民事上の紛争で、紛争当事者が互いに譲歩しあってその争いをやめること。当事者の契約による裁判外の和解と、確定判決と同一の効力を持つ裁判所により行われる裁判上の和解がある。



 訴状(そじょう)

民事訴訟において、訴えの提起に際し、当事者・法定代理人・請求の趣旨・請求の原因を記載し、第一審裁判所に提出する書面。


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